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【真面目な話】移民問題と日本の未来を考える。

こんにちは、ななえです。
先日、技能実習制度を題材に移民問題を取り上げた、こちらのトークライブを視聴しました。

私は現在、日本語教師として海外で働いていますが4年前までは日本で働いていました。

当時、留学生や技能実習生の日本語教育に関わる中で感じた違和感や問題は、そのまま移民問題に繋がっていたりもして、個人的にかなり関心のある社会問題。

今日は視聴した内容をまとめ、少しでも日本の移民問題を知ってもらえたらいいなと思い、この記事を書くことにしました。

目次

技能実習制度とは

技能実習制度および外国人研修制度とは、1993年に導入され、「技能実習」や「研修」の在留資格で日本に在留する外国人が報酬を伴う技能実習、或いは研修を行う制度である。by ウィキペディア

特徴として

  • 第一次産業に集中しているので日常であまり実習生に出会うことがない
  • 中小零細企業かつ高い賃金が出せない企業が多い
  • 都市部よりも地方が多い

表向きは日本で技能を学んでもらい、母国の発展に活かすための制度ですが、実際は低賃金で雇える人材を政府が間接的に提供しているような制度です。

なにが問題なのか

問題は2つ、企業側の問題と、制度的な問題に大きく分けられます。

【企業側の問題】

  • 低賃金問題、サービス残業
  • パワハラや暴力
  • 外国人軽視/蔑視
  • 労働法の違反率7割

上司と思われる日本人男性に殴られる実習生や、犬のような扱いを受けゲラゲラ笑われたりバカにされる実習生の動画をフェイスブック上で何度も目にしたことがあります。その度に「こんなことをする日本人がいるのか…」と胸が締め付けられる思いになりました。

【制度的な問題】

  • 転職ができない制度設計…運悪く悪質な職場に当たっても変えられない
  • 業種での縛りがある

「逃げるか耐えるかの2択しかない制度」とトーク内でも仰っていましたが、たとえ逃げても日本へ渡るために母国で借金をしている実習生がほとんどなため、帰るにも帰れない状況に陥ります。(そもそも借金しないと働きに行けない制度って何なのでしょう)

もはや国が主導で人権侵害を推し進めているようなものです。

コロナによってあぶり出された問題

コロナ禍での日本政府の迷走っぷりはベトナム人も苦笑するほどの有様でしたが。それにより浮き彫りとなったのは「外国人への支援を民間に頼る政府の怠慢」と「外国人労働者を使い捨てにする企業の傲慢さ」だと私は思います。

トークの23分あたりでは、コロナにより仕事が減り解雇となったベトナム人実習生(ティさん)が、企業から東京行きのチケットを手渡されて静岡の駅で捨てられた、というショッキングなお話が伺えます。「日本で働くのが怖い」という彼の言葉が胸に突き刺さりました。

コロナで解雇になったけれどフライトがないせいで帰国できなかったり、契約が終了した途端に寮から追い出されて行き場を失った実習生が数多くいる。にも関わらず(税金はしっかり日本人と同様に彼らからも絞り取るのに)そういった状況を全くサポートしない日本政府…本当に情けなく思います。

国策であるから余計に問題なのだ

これは動画の33分あたりで、望月さんが仰っていた言葉。

技能実習制度は日本政府の国策なんですよね。勝手に日本に来て勝手に辛くなっている訳じゃない。
日本が「たくさん来てください」という仕組みを作って、それによって利益を得ているのに、いざ何かあった時に何もせず志のある民間に頼っている状況。
覚悟をもって受け入れているわけではなく、(人手不足という)場当たり的なニーズに対応した結果、ティさんのような人が生み出されるような構造になってしまっている。

コロナにより職を失い、国にも帰れず、罪を犯してしまうベトナム人の犯罪だけがニュースでクローズアップされるけれど。(もちろん犯罪はだめ絶対!)じゃあ何がそうさせているのか?その背景を知ること、想像力を働かせることは本当に大事だなと思いました。

私たちに出来ること

私たちに出来ることは?という問いに対して「変だよね、おかしいよね、というその違和感を、その感覚を信じてほしい」という言葉が印象的でした。

他にも私たちができることとして

  1. 今感じていることは間違っていないので声をあげる
  2. こうして「知る」ことがまず一歩
  3. 寄付という形でサポート団体を支援する

全てはできなくとも、それぞれができる一歩を踏み出せたらいいですね。

おわりに

海外で日本語教師として働いていますが、私はこの仕事を単に「日本語を教えている」のではなく「日本の未来を作っている」という姿勢で取り組んでいます。

そもそも「日本で働きたい。」そんな風に彼らを思わせられるのは(もちろん色々あるけれども)アニメや茶道や寿司ではなくて、日本人そのものだと私は思います。

ベトナムの発展に寄与する日系企業は、本当にたくさんあって。今私が住んでいるところも
東急とベトナム政府による大都市開発が進んでいます。興味がある方はこのフォーブスの記事をぜひ読んでみて欲しい。

彼らはそんな日本人の姿を見て、そして関わり合うことで日本に興味を持ってくれたり、日本人に敬意を示してくれたりするわけです。(もちろん全ての人が、ではないよ)

そこで、台湾でもなく韓国でもなく中国でもなく「日本に行きたい」と日本を選んでくれた人が、まずは日本語を学ぼうと私たち日本語教師の元へやってきて最低レベルの日本語力(N5〜N4)を身につけるまで一緒に学びます。

語学を学んだことがある方なら、それがとても苦労するものだということはきっと想像に難くないはず。ましてひらがな・カタカナ・漢字・敬語と複雑な日本語は骨が折れる言語です。そうした苦労を乗り越えて、やっと日本へのチケットを手にした後に、使い捨てですか。「日本で働くのが怖い」とまで思わされる。

何でしょうかこれは。私たち日本語教師も、そして現地の日系企業も、そこで働く日本人も、みんなのことをバカにしてるなぁと感じます。少なくとも私は、誰か分からないどこぞの日本人が彼らを使い捨てにするために、彼らの語学育成に携わっているわけではないです。

被害妄想すぎない?と思うかもしれませんが。

でも、自分がやっていることに誇りを持たせてくれよ、何やっているんだよ日本。そんな風に思う海外在住者はきっと私だけではないと思います。

一人もティさんと同じような状況の人がいなくなるまで、この実習制度が改善・もしくは廃止されるまで、私は技能実習生への日本語教育には一切関わらないことを決めています。

日本は少子化が進み、外国人に頼らざるを得ない状況です。

現在約300万人の外国人が在留していて、日本はまぎれもなく移民国家。それを政府だけでなく私たち一人一人の日本人がきちんと認め、理解し、共生する。そんなことが必要だと感じます。

きっと日本人だけで済まそうもんなら日本は絶滅するかも。もしくは衰退して日本人が出稼ぎにいく時代が来るかもしれないよね。そしたらどこの国が日本人を受け入れてくれるんでしょうか。だから多くの日本人がこうして海外で「日本の未来を作っている」んです。それを日本の内側でぶっ壊されている。

こうした現状を改善するために、根本的な部分である制度そのものを、変えていかなきゃならないと思うのです。

もうね、このテーマについては永遠に喋っていられるので、そろそろこの辺でやめておきます。笑

興味を持ってくれた方はぜひ、アーカイブを視聴してみてください。

最後まで読んでくれて本当に、本当に、ありがとう。

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